MPS研究会 第13回学術集会 報告

筋筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では2014年6月14日 土曜日、15日 日曜日の両日、東京錦糸町にて第13回 学術集会を開催しました。

今回の学術集会では、メインテーマを『動作分析による罹患筋診断』として、罹患筋を迅速かつ正確に診断できるようにする事で、日常診療に必ず役立たせる事を目的としました。

世話人 木村ペインクリニック 木村裕明 院長

世話人 木村ペインクリニック
木村裕明 院長

MPS研究会 第13回 学術集会

MPS研究会
第13回 学術集会

6月14日 土曜日 エコー勉強会

エコー勉強会
弘前大学医学部附属病院 総合診療部, 金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生
ソニックジャパン(株) 松崎正史氏

弘前大学医学部附属病院 総合診療部, 金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生

弘前大学医学部附属病院 総合診療部
金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生

最初のセクションはエコー勉強会です。

エコー勉強会の前半は弘前大学医学部附属病院 総合診療部, 金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生によるプレゼンテーションにて、エコーの基礎知識、エコーの有用性、エコーガイド下のトリガーポイント注射や筋膜間注入法のコツをはじめ、MPSの診断・治療におけるエコー利用に必要な知識・考え方の説明がありました。

実習

実習は弘前大学医学部附属病院 総合診療部, 金沢大学機能解剖学分野 小林 只 先生とソニックジャパン(株) 松崎正史氏による二組のチームに分かれて実習が行われました。

この実習では、その際のエコー画像を見ながら、患部の特定方法、状況の説明、エコー画像を確認しながらトリガーポイントブロック注射やトリガーポイント鍼療法などを行う手法についての説明がありました。

実習

実習

実習

実習

[講演] 動作分析による罹患筋診断と治療手順 – トリガーポイント研究所 佐藤恒士先生

トリガーポイント研究所 佐藤恒士先生

トリガーポイント研究所 佐藤恒士先生

今回の1つ目の講演は『動作分析による罹患筋診断と治療手順』と題して、トリガーポイント研究所 佐藤恒士先生 より、ご講演をいただきました。

この講演では、MPSの症例を紹介しながら、徒手療法の見地からMPS診断、急性痛と慢性痛の違い、動作痛についての説明、治療の基本的な考え方などについての説明がありました。

また、後半は会員を被験者として実際の診断、治療手順について実演が行われ説明の内容を実際に体験する事ができました。

[DVD発売記念講演] 罹患筋診断実技講習 – 臨床トリガーポイント研究会 森田 義之 先生

臨床トリガーポイント研究会 森田 義之 先生

臨床トリガーポイント研究会
森田 義之 先生

2つ目の講演は臨床トリガーポイント研究会 森田 義之 先生のDVD「CGでわかる 肩こり・頭痛に効く トリガーポイント鍼療法 森田スタイル」の発売を記念して、罹患筋診断の講習をしていただきました。

具体的には、筋肉の部位毎に、運動動作と筋肉の動作の関係について、動画を用いてわかりやすい発表がありました。

6月15日 日曜日 会員プレゼンテーション

手技、電気治療器を使用したMPSへのアプローチ – おおにし整骨院 大西清一 先生

おおにし整骨院 大西清一 先生

おおにし整骨院 大西清一 先生

二日目は会員のプレゼンテーションのセッションです。最初の発表はおおにし整骨院 大西清一 先生による「手技、電気治療器を使用したMPSへのアプローチ」です。

このプレゼンテーションでは手技、電気治療器という観点からMPSの治療法についての発表がされました。実際に会場に微弱電流治療器(アキュスコープ)、低周波治療器(ハイチャージ)を設置して、会員を被験者にして実技を行う事で、電気治療に関する色々な検討、議論も行われました。

pain drawingを用いた非特異的腰痛分類の試み -腰痛持続期間によるpain drawing分布の相違-
佐々木整形外科 佐々木 哲也先生

佐々木整形外科 佐々木 哲也先生

佐々木整形外科 佐々木 哲也先生

続く発表は、佐々木整形外科 佐々木 哲也先生による『pain drawingを用いた非特異的腰痛分類の試み -腰痛持続期間によるpain drawing分布の相違-』です。

この発表の中では、pain drawingを用いて非特異的腰痛分類と腰痛持続期間によるpain drawing分布の相違についての検証をした結果、部位によって急性痛、慢性痛の発生率の違い、自然軽快をする割合に違いがある事などが発表れました。

運動機能の診方と機能的理学療法 – 局所と全体を統合評価し効率的に治療するためのヒントを探る –
滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター 辻村 陵行 先生

滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター 辻村 陵行 先生

滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター 辻村 陵行 先生

続く発表は、滋賀医科大学附属病院 学際的痛み治療センター 辻村 陵行 先生による『運動機能の診方と機能的理学療法 – 局所と全体を統合評価し効率的に治療するためのヒントを探る -』です。

この発表の中では、MPSの発生や持続要因について、異常筋緊張や関節包内運動の不全やマッスルインバランス、運動パターンの異常、頻回に繰返す動作パターンなどの視点から理論と実際についての説明、トリガーポイントを生じている筋の特定と、トリガーポイントを生じさせた原因を掘り下げ繋げていけると治療効果の継続や再発予防が期待できる事などの発表がありました。

筋膜リリースの新しい治療法 MYORUB – 塩釜鍼灸治療室 鳥居諭先生

塩釜鍼灸治療室 鳥居諭先生

塩釜鍼灸治療室 鳥居諭先生

最後の発表は、塩釜鍼灸治療室 鳥居諭先生による『筋膜リリースの新しい治療法 MYORUB』です。

この発表の中では、筋筋膜をリリース為に専用に開発されたマッサージ器具MYORUBを使用し、如何に最短で目的の愁訴を改善するかという観点で治療を行う手法について、実器具を使った実演を交えた発表がありました。

総括

今回の学術集会では、注射療法、鍼療法、徒手療法、理学療法など様々な観点での実技を多く実施することにより、より効果的に罹患筋を迅速かつ正確に診断、治療できるようになるという目的が達成できたと考えています。

今後も本研究会を通して、今回のようにより深い情報交換を行うことにより、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)のより詳細な原因、症状、治療方法の研究に寄与してゆく所存です。

運営にご協力をいただいた大正富山医薬品(株)様ソニックジャパン(株)様東芝メディカルシステムズ(株)様愛知電子工業(株)様を始めとする、全ての関係者の方々へ、この場を使い感謝の意を表させていただきます。

筋筋膜性疼痛症候群(MPS) 研究会では、今回のような学術集会を始めとする場で痛み、筋筋膜性疼痛症候群に対する理解を深め、治療技術の発展の為、ともに研究を行う治療者、研究者を募集しています。詳細は入会についてを参照願います。

なお、本学術集会の内容は、会員は会員コミュニティページより動画で視聴できます。